葬儀の席は故人との関係を表す重要な役割があり、座順のマナーがあります。普段意識する座順とはまた違った決まりがありますので間違いがないよう事前に一般的なマナーを知っておくと安心です。SNS全盛期の現代での参列マナーも併せてご紹介致しますので覚えておきましょう。

座順について

葬儀の席では、故人と関係の深い順に上座から座ります。祭壇に向かって右側が親族席となり基本的な順番としては、喪主・遺族・近親者・親族の順に上座から座っていきます。席の前半が血縁関係の濃い喪主や遺族の席となり席の後半が孫や血縁関係の遠い親族の席となります。しかし、時には故人の配偶者を優先しなければいけない場合や、元々の血縁関係が濃くても下座寄りに座らなければいけない場合もあります。上座である最前列・中央の通路側の席に座るのは喪主になります。親族席では血縁関係が濃い順に座りますが、喪主に配偶者や子供がいた場合等は葬儀では基本的に家族単位で座るようになっている為に故人との血縁関係がない場合でも喪主の隣の席に座る事になります。ここで注意が必要なのが故人の配偶者がいる場合には座順が異なるという点です。故人との関係性が深いのは故人の子ではなく配偶者になる為、故人の配偶者がご存命で故人のお子様が喪主を務める場合には喪主が上座に座るのは変わりませんが、隣に座るのは喪主の配偶者ではなく故人の配偶者が優先され、その次に故人の子や孫の順番で座っていきます。家族単位に座っていきますが、兄弟姉妹がいる際には年齢順に座る場合と男女別に座る場合がありますので実際に確認するようにします。また、結婚して別世帯になっている場合には下座寄りに座らなければいけない場合もありますので座順については喪主や遺族間で事前に確認や話し合いをしておいた方が安心でしょう。残りの遠い血縁の親族の座順は基本的に自由となっていますので、ご自身が血縁が遠いという場合は後方の席に座るのが無難でしょう。
祭壇に向かって左側が親族以外の座る一般席となり基本的には故人と親しかった友人・知人、仕事関係の方などが座り、親族席と同様に関係性が深い順に上座へ座ります。喪主のサポートを行う立場の世話役代表や葬儀委員長が最前列の一番上座に近い位置に座り、残りは故人との縁が深い友人・知人・会社関係の方が順番に座っていきます。会社や職場関係の方が座る際には、役職を持っている方や直属の上司や先輩など関係の深かった順になります。


座順の理由

座順が決まっている理由は、日本のお葬式の大多数が仏式で行われている事が深く関係しています。仏式の葬儀では式の間にお焼香を行うので葬儀を円滑に進める為にお焼香を行う順番、すなわち故人との関係性が近い方から前に座るような座順となっているのです。喪主がまず一番初めにお焼香を、次に遺族、親族というように親族の方から先に、その後に友人・知人や仕事関係などの一般の方へと続きます。祭壇に向かって右側が親族席、左側が一般席と決まっているのにも理由があり、お焼香の順番は右から左へと進みお焼香を行うことを円滑にすることが理由となっています。
ただし、必ずしもそうでなければいけないという訳ではありませんので実際には家族単位で座る事も多く、必ずしも前列の席が故人とより親しい間柄と言うわけではありませんし、お焼香を二つ用意してある場合などは左右同時に行う事もあり、その場合には遺族や親族が右側に座ると拘らずに左右の前方の席に座る場合もありますので実際に確認することが大切となります。


SNS全盛期の現代での葬儀

葬儀の場では、遺族の意向によって集合写真を撮る場合もあります。祭壇を背にして行われる写真撮影は昔からあり、葬儀後や出棺前など祭壇を背にして撮影されます。一般的にこの際には故人の遺影が中心に写るように撮られます。こちらの撮影については遺族の了解や希望の元に行われるものでマナー違反にはなりませんが、参列者がスマートフォンを使用して勝手に撮影をしてしまうといったような事が近年ではよく見受けられます。しかし、遺族に断りもなく勝手に葬儀の風景を撮影するのはマナー違反と言えます。親しかった故人の顔や葬儀の様子を思い出として残しておきたいという気持ちがあったとしても、大変失礼な行為ですので絶対に行わないようにしましょう。スマートフォンの普及と共にSNSも全盛期を迎えた現代では、写真撮影だけではなく葬儀の風景をSNSにアップしてしまう人もいるようです。葬儀の風景をSNSにアップする行為は勝手に写真撮影するよりも重大なマナー違反ですので、どんなに故人と親しかったとしても遺族に無断で写真を撮ったりSNSにアップするような行為はやめましょう。

SNS全盛期の現代での葬儀

写真撮影が遺族の方に許可された場合にも、節度を持って撮影を行う必要があります。撮影の際には音が出るだけでなく液晶画面の光が葬儀の進行や雰囲気を台無しにしてしまう可能性もありますので、読経中や誰かが追悼の辞を読んでいる時などは避けるようにしなければいけません。故人の周りに花が飾られる出棺直前の時間を写真におさめたくなる方が多いようですが、遺族と故人が最後にお別れをする大切な場なのです。本来であれば自粛するべきですがどうしても撮りたい場合には遺族の方に一言伝え、了承して頂けた場合には他の方々が最後の別れをした後にさっと撮影すると良いでしょう。
撮影する際には遺族の方のみでなく参列者の方への配慮を忘れずにしましょう。思い出を写真として残したいという感覚は世代によって違うものです。写真を撮ろうとする感覚に違和感を持つのも事実です。周りの人が映りこんでしまう可能性も高くSNSなどに投稿するとなると葬儀だけのマナーの問題ではなくなってきます。大切な方の最期のひとときを、写真ではなく心にのこすようにマナーを守って参列しましょう。