葬儀で流す音楽について

前提として葬儀で音楽を流せるのか、という点が気になる方もいらっしゃるかと思います。結論から申しあげますと、焼香や経読のような宗教的な儀式の最中以外は、お好みの音楽を流す事が可能です。お好みの音楽とは言ってもどんな音楽でも流して良いという訳でもありません。これは絶対に駄目といったように明確なルールは定められていませんが、葬儀の雰囲気にあったものを選ぶという事が大切です。音楽を式中に流したいと考えていらっしゃる場合には具体的な候補と共に打ち合わせのタイミングで葬儀社に相談をしてみてください。故人に縁のある曲を選ぶ事が出来れば遺族の方や参列者より深く懐かしめることでしょう。それでは葬儀に流す上で相応しい音楽の種類を具体的にご紹介していきます。

・クラシック:葬儀中に流す音楽の定番であるクラシックは葬儀に限らず冠婚葬祭の場面で好まれます。クラシックは別れの雰囲気や故人の思い出を振り返られるような音楽が多く上品な雰囲気を演出でき、葬儀にもよくなじみます。また美しい音色は参列者の方の心や気持ちを穏やかにしてくれますので悲しみを癒し寄り添ってくれるような効果も期待できるでしょう。
・邦楽:クラシックに次いで日本語の歌詞のバラードや静かな音楽が選ばれるケースが多くあります。故人が生前好きだったアーティストの曲や心を癒すような歌詞の曲が選ばれることも多いです。邦楽であっても、オルゴールバージョンやピアノ演奏といった、歌声が入っていないタイプも好まれています。
・洋楽:クラシックや邦楽に限らず洋楽も選択肢の一つです。故人が生前に洋楽を好きだった場合には特に選ばれるケースが多いです。邦楽と同様に葬儀により適しているバラード調のR&Bの楽曲が好まれます。歌詞が邦楽ほど入ってこない分音楽や歌声に自然と癒されるでしょう。
・ポップス・ロック:葬儀中や出棺の際に流す音楽については明確な決まりがないとお伝えしましたが、そのため基本的にはどんな音楽でも流すことが可能です。ですから故人が生前ポップスやロックが好きで葬儀の際に流してほしいとの希望があれば流すこと自体は可能です。ですが、葬儀には不向きな曲調の音楽は葬儀社側から止められることもあるという事を視野に入れておいてください。また、葬儀会場の防音設備によっては周りに迷惑がかかるといった理由で音楽を指定される可能性がありますのであらかじめ確認をお願い致します。

葬儀の際に音楽を流す主なタイミングとしては出棺時があげられます。故人との最後の別れのタイミングとして音楽と共に送り出すケースが多いのです。葬儀中は出棺時以外にも音楽を流すことが可能ですが、常に流しているとかえって参列者の気が散ってしまったり印象に残らないといった可能性があります。そのような可能性を回避する為にもタイミングを選ぶことでより効果的な演出をすることが出来ます。
出棺のタイミング以外にも、葬式前のタイミングや故人の紹介のタイミング、最後のお別れのタイミングといったように様々なタイミングで演出することが可能です。ご自身では判断が難しい場合もあると思いますので、葬儀のプロである葬儀社と相談してみましょう。

注意点について

ここからは注意点と共に実際に音楽を選ぶポイントについてご紹介していきます。
一つ目のポイントとしては故人が好きだった曲であるかという点です。葬儀は故人を偲ぶ場所です。会場の雰囲気も勿論大切な事ですが、参列者が故人を想いお別れする場ということが重要になりますから、基本的には故人がお気に入りだった曲を選ぶ必要があります。
二つ目のポイントは葬儀という雰囲気に適しているかです。故人に縁がある曲だとしても歌詞や曲調があまりに葬儀に似合わないようなものは、雰囲気を壊す可能性がありますし別会場に迷惑をかけてしまう場合もあります。どうしても流したい場合や故人が希望していた場合には、事前に葬儀社とよく相談して決めましょう。

注意点としては、まず葬儀会場の設備に注意が必要です。CDなどを自分達で持ち込んで音楽を流す場合には音響設備が必要ですから、葬儀会場に音響設備がない場合には自前で機材を持っていく必要がある可能性もあります。設備が整っているか・自身の音楽メディアが対応しているか事前に葬儀社に確認しておきましょう。また、葬儀会場の場所や仕組みによっては防音設備の有無も注意する必要があります。葬儀の規模が大きくなるほどに流す音楽の音量も変化しますから、葬儀の規模と会場の防音設備についても事前に確認しておくとより安心です。
続いて流す音楽の著作権にも注意が必要です。日本音楽著作権協会(JASRAC)と契約している場合なら音楽の使用が可能なのですが、そうでない場合には音楽を流すと演奏権が発生し著作権使用料の支払いが必須になります。実際、日本音楽著作権協会と契約しているケースは非常に少なく、音楽を持ち込む場合にも種類によっては著作権により流せない場合があります。著作権の保護期間は楽曲制作者の死後五十年までですから、クラシックや民謡の多くは使用料を払わずに音楽を流せますから、気になる方はクラシックや民謡をお勧め致します。
最後の注意点として葬儀社によっては音楽を流せない場合があるという事です。先ほど紹介した日本音楽著作権協会(JASRAC)との契約が結ばれていない場合だけでなく、葬儀会場が用意している音響設備が不十分な場合などです。権利に関係なく音楽を流すこと自体を受け入れていない会社もありますから事前に確認しておくと安心です。