骨上げとは、火葬後に主に遺族や親族の手によって遺骨を骨壺に納める一連の儀式を指します。繰り返して欲しくない種類の非日常に対しお葬式の儀礼の多く見られる「日常とは逆の行為」を行うという考え方に準じていてる為、普段は行わない「箸をたがえる」という行為を非日常の行為として行っていると一説では言われています。箸渡しについて詳しい内容や由来・意味についても併せてお伝えしていきます。

骨上げの作法

骨上げの手順は宗教や地域により異なる場合もありますので実際に骨上げを行う際には係員の指示に従うようにしましょう。火葬が終わった際に係員が声を掛けてくれるので誘導に従って収骨室へ向かいます。お骨となった故人の遺骨が火葬炉から骨上げ台に運ばれているので、火葬場に同行してきた人達は全員で遺骨の周りに集まります。その際は喪主がご遺骨の頭側に立つ場合が多いようです。骨上げは二人一組のペアで行うのでペアを組みます。その際に男女一組等の指定をされる場合もありますので係員の指示を聞きそれに従いましょう。

骨上げの順序
火葬場に箸が用意されているので
それを係員から受け取り
故人と縁の深かった順に
喪主・遺族・親族といった順で行います。
生前と同じ様に足が下・頭が上にある状態で
お骨が骨壺に納められるようにする為に
足の方のお骨から拾い始め、
頭の方へと上がっていくように順に拾っていく。
最後に、故人と最も縁の深かった人が
喉ぼとけの部分を納めて終わりにする。

以上が一般的な骨上げの手順となります。お骨の拾い方は、一片のお骨をペアとなっている人達が二人で同時に箸で拾い上げるという方法で行なわれる場合もあれば、一人が拾い上げたお骨をもう一人に箸から箸へと受け渡す方法で行なわれる場合もあります。※収骨する量や拾い方などの骨上げの作法は宗教や地域によって差があるものなので、実際に骨上げを行う際に係員が教えてくれたことに従って行いましょう。

骨上げ後

骨上げ後の流れとして、骨上げが終わると火葬場の係員が骨壺の蓋を閉めて包んでくれますので自宅へ持ち帰り、飾り壇(四十九日まで設けておく仮の祭壇)に置き、仏壇で行なうのと同じ様に後飾り壇にろうそくと線香を灯します。宗派により異なる場合もありますが一般的に四十九日の忌明けまで灯明や線香を絶やさないようにするのが正式且つ伝統的な作法ですが、ろうそくや線香は火の気を伴いますので可能な限りの範囲で危険がない様、供養するようにしましょう。後飾り壇に安置した遺骨に対しお経をあげ、その後に喪主から順に焼香を行ないこれで葬儀は終了となります。
お墓が遠方にある場合や手元供養を行いたい場合など分骨される事情は様々になりますが、お墓に納めた後に分骨するとなると墓石を動か際に墓の閉眼供養・開眼供養も伴う為、寺院や石材店との調整が必要となり手間も費用も掛かってしまう物ですので、分骨を希望している場合には骨上げの時点で既に決めてあれば骨上げの際に行う事が出来るので比較的容易に分骨をすることが可能です。しかし火葬当日に滞りなく分骨を行なうには事前の手配が必要ですので注意が必要です。骨上げの際に分骨を希望している旨を葬儀会社に事前に申し出ておき、分骨用の骨壺を用意しておいて貰うようにします。また、分骨した遺骨を将来的に納骨するとなった場合に必要となるのが分骨証明書です。分骨証明書は分骨する数だけ必要ですので忘れずに貰うようにし、もし分骨した遺骨を当面は自宅など手元で安置する予定であっても将来的に納骨することになった場合に必要となってきますので、今すぐに必要じゃない場合や当面の予定がない場合でも分骨証明書は必ず貰いましょう。

お清め塩を行うタイミング

お清め塩は本来神道で行われてきた儀式で、神道では死を穢れと認識していた事から塩を体にまくことで穢れがはらわれると考えました。宗教や地域の風習などにより考え方が異なりますので儀式の必要性に迷った場合は、信仰する宗教や個人の考え方に従うとよいでしょう。
お清め塩を体にまく適切なタイミングは、葬儀から帰宅した時です。家に入る前に行うのが基本的なマナーとなっているため、葬儀でお清めの塩を受け取った場合は忘れないよう備えておきましょう。清めないまま家の中へ入る行為は、穢れを持ったまま家へ入ることを意味すると考えられています。葬儀で受け取らなかった場合は、近隣の商業施設などで購入しても問題はありません。家族が家にいるのであれば、玄関に入らないように手渡しで塩を受け取っても良いでしょう。地域によっては、移動のために利用した車に乗り込む前が適切とする場合もあります。


箸のマナーと箸渡し

食事の席でタブーとされる「箸渡し」ですが、箸渡しは骨上げの際に故人に対して行う箸の作法である為に食事中の箸渡し(箸同士で直接食べ物を渡す行為)はお骨上げを連想させるという点から、嫌い箸や忌み箸と言ったようなタブーとされています。食事中に食べ物を箸同士で分け合うのはマナー違反ですので絶対に行わないよう注意しましょう。また、箸渡しで使用する骨上げ箸は、縁起の悪い事には逆さの事で対応する「逆さ事」の考えが元になっているという説もあり、長さや素材の違う箸を使用し不揃いにするという事が揃っている箸は「逆さ」という考え方があり、食事の席では違い箸といったようにタブーとされていますので互い違いの箸を使用する事も食事の際には行わない様にしましょう。食事の際の箸のマナーについては約四十二種類程度あるとされています。その中でも先に述べた箸渡しや違い箸の他に、箸をご飯に突き刺して立てる立て箸なども葬儀で行われる箸の作法として縁起の悪い事には逆さの事で対応する「逆さ事」の考えから嫌い箸というタブーとされています。葬儀の際の箸の作法と食事の際の箸の作法は「逆さごと」という点から繋がっているという事です。

箸渡しの意味・由来

箸渡しとは、火葬後に故人のお骨を骨壺に納める骨上げの際に行う儀式のことを指し、仏教では現世とあの世があるとされていてこの世とあの世の境には三途の川が流れており亡くなられた方は三途の河を渡って極楽浄土へと向かうとされている為、亡くなられた方が無事に三途の川を渡れるよう「橋渡し」が出来る様にと願い、生きているものが実際に三途の河に橋を渡す事は出来ないので代わりに同音である箸にその願いを込めたと考えられています。また、亡くなられた方をあの世へ送る為に遺族の方々が共同作業として箸渡しをする事によって、悲しみを分け合うという意味も込められているそうです。箸渡しの儀式は日本固有の儀式であり、かつての日本では箸で掴んだお骨を遺族に順番に渡していって骨壺へお骨を納めていたとも言われています。
箸渡しで使用する箸は「骨上げ箸」と呼ばれていて、基本的には長さと素材が違う箸を一組にして使用します。長さや素材の違う箸を使用する理由については諸説あるのですが、食事の際に使用する箸と同じ形式のものでは縁起が悪いといった理由や左右を揃える間もないほどの悲しみと驚きを抱えていることを表しているという説もあります。