お通夜やお葬式に弔問をする際にはお香典を包みます。包む金額を考える際に基準となる要素はひとつではありません。相場を把握しておくと香典に包む金額で悩む必要もなくなりますから、ひとつの目安として知っておいて損はありません。

香典を包む際の注意点

慶事ではお金を包む際には新札を用意するのが一般的ですが、弔事では新札を包むことはマナー違反です。また、二・四・六など偶数になる金額は避けるべきものとなっています。包む金額は一・三・五・七など奇数になるようにお札を用意するようにしましょう。奇数であっても「九」が含まれる金額は避けるようにしましょう。九という数字は「苦」を表す忌み数とされています。九の他にも同様に「四」も「死」を表す忌み数となる上に偶数はもともと避けた方がよい数字なので注意をする必要があります。
香典の表書きは筆で書くことが基本となりますが、その中でも薄い墨には悲しみをあらわす気持ちが込められているので薄い墨を使うのがより良いとされています。香典だけではなく弔事や仏前へのお供えも薄い墨で書くのがマナーとなっていますので一緒に覚えておくと良いでしょう。金額や住所を記入する裏書きでは読みやすさや利便性の面を重視し万年筆やボールペンでも良いともされています。


香典の相場

香典に包む金額の相場は「ご自身の年齢」や「故人との関係性」によって異なります。基本的には故人との関係性で相場が決まりますが年齢も金額に影響するものです。もちろん相場以上でも相場以下でもあまりに相場とかけ離れた金額でなければ問題はありませんから、あくまで目安として相場の平均的な金額を香典に包むという点を心掛け経済的に大きな負担とならないように金額を決めましょうましょう。また、20代の方の場合は社会人になりたてであったりすると香典が大きな負担となるものですから、相場の下限を包んだとしても問題はありません。故人への想いがこもっていればいくらであっても気持ちは伝わるものです。無理をせずに香典に想いを込めることが大切です。

世代別の相場
50代以上の方…関係別の相場の上限
30代・40代の方…関係別の相場の平均的な金額
20代の方…関係別の相場の下限

香典の金額相場を知るうえで大きなポイントとなるのが香典を包む方と故人との関係性です。故人が親族の場合であれば香典の金額は血縁が近いほど高くなる傾向にあり、香典の金額は基本的に端数のない金額が望ましいです。親族以外の方については規則や相場だけでは検討しにくい場合もあります。生前に非常にお世話になったり付き合いが親密だったりする場合はそれ以上の金額を包んでも良いでしょう。会社関係の方の葬儀は仕事関係で香典を包む場合に取引先の関係者に対して包むこともあるかと思いますが、取引先の社長など重役が故人の場合は一万円以上、それ以外では三千円から一万円が一般的な相場といえます。

関係別の相場
父親・母親…五万円から十万円・十万円以上
兄弟・姉妹…三万円から五万円
子供…………五万円から十万円
孫……………二万円から十万円
叔父・叔母…一万円から三万円
義父・義母…三万円から十万円・十万円以上
祖父・祖母…一万円から五万円
友人・級友…五千円から一万円
社長…………五千円から一万円
上司…………五千円から一万円
同僚…………五千円から一万円
部下…………五千円から一万円

上記に示した金額は一人辺りのものですから夫婦で参列する場合は二人分を包むようにします。


香典の必要性

ここまでに香典の相場や注意点についてお伝えしてきましたが、香典を渡す必要性の有無はどうでしょうか。喪主の方が葬儀の案内状などで香典の辞退をしている場合などは別になりますが、そういった理由がない場合には香典には「弔意をあらわすもの」であるだけでなく「日頃からの付き合いへの感謝」をあらわすものという側面も持っていますから、身内であっても香典は包むようにするのがマナーです。一般的な相場の例を挙げて参りましたが、その相場に捉われず日頃から付き合いが深い方には感謝の気持ちを込めて香典を包むという事にも意識を向けると良いでしょう。また、香典に対して相手の方も香典返しとして此方に何かしらのかたちで贈ってくるものもありますから、香典として包む金額があまりにも相場とかけ離れているようでは後々のトラブルの元凶となってしまう場合もありますのでマナーをしっかりと心得ておく必要があります。
ただし、場合によっては香典を包まなくても良い状況もあります。具体的には「喪主の方が香典を辞退している」場合です。この場合については例えどんなに親しい身内や間柄であった場合でも香典を包む必要はありません。基本的には香典を辞退している旨の確認は、葬儀の案内状に記されていたり葬儀の際に故人の家に貼られる忌中に書かれているところから確認する事が出来ますので通夜や葬儀に向かう際には事前に確認しておきましょう。
また、同居していた親が亡くなった場合に「自身が喪主である場合」には香典を渡すことはありません。亡くなった親と生前に同居していてもしていなくても自身が喪主をつとめる場合にも同じことが言えます。しかし、自身が喪主をつとめない場合でも一般的には「亡くなった親と同居していた」場合には香典を包む必要はないです。ただしここで注意が必要なのが、香典はあくまでも慣習によるものですので個人の考え方にも大きく左右されます。こういった場合は一概に香典を包まない・包むと言える訳ではありませんので、時と場合に合わせた行動をするようにしましょう。